Ictus - "Complete Discography"

Artist Information
Country Genre Creation Label
Spain Neocrust 2004 LongLegsLongArms Distribution
Album Information
Type Release Date
Compilation 28/04/2014
Tracks (Total Time; 98:18)
No. Title Time Disc
I. Los Restos De La Esfera 12:18 I
II. Sed De Venganza 16:35 I
III. Un Millón De Dedos Aprietan 02:06 I
IV. Hilos Que Sujetan El Mundo 03:18 I
V. Destruyendo Nuestro Hogar 02:57 I
VI. Hambrientos De Un Sol Distinto 07:38 I
VII. La Herida Es El Comienzo 04:45 I
VIII. Sueño Sin Miedo 09:48 I
IX. Imperivm 38:53 II
Notes
No. Taken From Type Release Year
I. Ictus/Okban Split 2006
II. Ictus/This Thing Called Dying Split 2006
III.-VIII. Hambrientos De Un Sol Distinto Full-Length (1st) 2005
IX. Imperivm Full-Length (2nd) 2007
俺たちの濠怨黙示録

スペインが誇るネオクラストの重鎮、Ictusの過去音源を全曲収録したコンピレーション。まさしく「事件」ともいうべきリリースです。よもやこの時が来ようとは!
ネオクラストなるジャンルに触れた方ならお分かりの事だと思いますがこのIctus、ビッグネームでありながらやたら音源の入手困難性が高いことでも有名でした。

私に彼女が出来るかのが先か、Ictusの再発が行われるのが先か...、今日までその結末について皆が皆、各所で噂していたものです。嘘です
しかし嬉しいかな悲しいかな、その果て無き拮抗を破り立ち上がったのが御存じ俺たちの3LA、もといLongLegsLongArmsさんでした。

このコンピレーションを製作するにあたって、3LAさんはファンを始めとする方々の協力を仰ぐスタンスを採用したプロジェクトを立ち上げる旨を発表、
そのレスポンス、サポートの数そして熱意たるや、凄まじいものだったと記憶しています。国内だけでも、どれほど待ち望まれていたかが窺えますね。
リスナーの方々が抱く予想以上の紆余曲折、試行錯誤を経たであろう本作。レビューも勿論交えますが、少し変わった視点からも紐解いていきたいと思います。


さておき3LAさん、私の彼女のリリースの方、何卒よろしくお願いします。(再発不可)(なにせ元カノがいない)(ネオクラスト)

俺たちの"ただの"再発

今回の記事の第一部となるトピックはこれです。これは3LAさんも意見を求めていた点でしたので。「再発って何の意味があるの?」ということですね。

今我々に何があるかと言いますと、インターネットです。即ち、別に持ってない/入手困難な音源だろうが聴く行為自体はかなり容易になっているのが現状。
Youtubeがその最たる例で事実、後述するIctusの2nd、"Imperivm"もフル、しかも結構良い音質で聴くことが可能です。

「聴ければいい」という姿勢のリスナーの方々にとっては、ほぼ再発を評価することはありません。しかしながら、私も含めそうではない方が多くいらっしゃいます。
「フィジカルで持っておきたい」と思う人たちですね。音源の重みを手で感じて、モノであるということを目で見て、そこに満足を覚えたりするのです。

そういった方々の目線で見れば、入手困難だった音源の再発、というのは本当に笹を食ってる場合ではないのです。待ってましたと一斉にちゃぶ台を返します。


さて、ここまでは前置き。特段変わったことを言ってるでもない、皆さんが分かってるに近いことです。本題はここからとなります。

そう、その笹を食ってる場合じゃないパンダなリスナーの方々というのを基盤にした上で「再発する意味」を今一度問う必要があるわけです。
フィジカルで欲しい!という方でも、買わないという選択肢を採る場合が多々有るはず。大抵の場合、その選択肢に至るまでの原因となるのは「お金」。

こればっかりは正直どうしようもありません。お金がなければもちろん買えないわけです。まあそうはいっても、常にお金がないわけではないことも多く。
しかしこれは私の経験則でもありますが、「一度買わないという選択肢を採った後、改めて余裕ができたときに買う」という行為、これ実はあまりしません。

出会いというのは一期一会とはよく言ったもので、このケースを経験している方も多いはず。ましてや再発となれば尚更で、ひとたび機を逃してしまえば...


ということなら話は早くなります。"ただの"再発からの脱却を目指す、この一点ですね。

「確かに、確かに収録されている音源は過去のものと全く一緒なんだけれども、何故だろう、全く新しい音源のように感じるのは」と思わせることができるか否か。
買おうかどうか選択を渋っている方でも、そうとなれば重い腰を上げる可能性が格段に高まります。尻軽にしてあげるのですイャン♡
加えて、後で買おうと思っている方に対してもそのインパクトを残せることができたなら、「買う」という選択肢を維持させることが可能になるわけです。

そうするためには、果たしてどうしていけばよいのか。その点を次の項目で。まだレビューに入りません、なんだこの記事はいつもこんな調子なんですすいません

俺たちの再発

パンダリスナーの方々に"ただの"再発だと思わせないようにするには果たしてどうするべきなのか。簡潔にいえば差別化を図ることです。中でも重要なのは、

「発売前に如何にリスナーをIMPERIVM状態にさせるか」

これです。どれだけリリースする前に、それも初速、企画段階で言うイントロの時点でリスナーの気分をぶち上げることができるかがやはり一番だと思います。
そのためのツールはいくつかありますが、3LAさんはIctus再発にあたりこの点を抑えて企画を実施していました。例として行った予告は、

  1. Ictusの音源を完全網羅したコンプリート・ディスコグラフィーとしてのリリース
  2. オリジナルの英訳に加えて日本語対訳と仔細に至るライナーノーツの付与

といったところでしょうか。一点目については言うまでもなく、完全網羅という点。「これさえ持っておけばIctusは完璧」と思わせること、これはかなり効きます。
二点目はいわゆる付加価値を用いての差別化です。国内盤に近しい意味を持たせることをしていますが、このケースでは良い意味で意味合いが異なります。

私は対訳やらライナーノーツが付いた音源を買うことはほとんどありません。英語歌詞がメインであれば特に対訳を必要とはしませんし(辞書あれば何とかなる)
ライナーノーツも求めているモノであることが少ないからです。しかしIctusは全楽曲スペイン語詞。すなわち相対的に対訳を欲する人が爆発的に増えるわけで。

極めつけはIctusの音楽ジャンルがネオクラストであるということ。思想というものが真に重視されているジャンルであるからこそ、理解する必要があり...
私がネオクラストとブラックメタルがリンクしていると感じているのはこの点から来ているわけですが、これらの点からも対訳等の付加は嬉しいのです。
加えてライナーノーツを書いているのが他ならぬ水谷さんとあっては、その興味深さたるやIMPERIVMです。裂けないチーズも裂けます。



こうした、「"ただの"再発じゃないぞ!」という部分を最初にアピールしてくれると、パンダリスナーも走るどころか羽生やして飛ぶわけです。想像すると怖いな...
余談ではありますが、3LAさんは企画発表当時に明記していなかったものの帯付きであることも立派な差別化の一つだと思います。

加えて、フィジカル化、いや音源にとって外せない重大な要素がまだあります。これは個人的に再発で最も重要視している点です。それは...

俺たちのアートワーク

はい、アートワークです。別に再発だけに限って重要、というわけではありませんが、再発になるとその重要性が格段に増します。
これは一瞥してその音源の差別化を認識できるツールです。この良し悪しは、買う買わないの選択に直結するものだと言っても過言ではありません。

再発でアートワークを変わることについては賛否が分かれるかと思います。全く異なるジャケになった場合、以前の思い出が掻き消えることにも繋がるからです。
事実、私僭越ながらバンオフとして過ごしてるわけですが、「なんでジャケ変えたの…前の方が良かったのに…」なんていう意見を寄せられたこともあります。

しかして、その変化というのは私は100%ポジティヴに作用するものだと信じて疑っておりません。それは今まで持たなかった視点へと導いてくれるからです。
これはとても重要なポイント。その色合い(これが最も重要)や構成如何によっては、既存の視方を壊し新鮮な感覚で作品を聴けることになるはずでしょう。


ただ、今回は今までなかった完全網羅ディスコグラフィーということでしたので、当然アートワークが変わることは予想できていました。
しかしその重要度たるや私の中ではトップクラス、なにせIctus再発と聞いた時に最初に頭を巡ったのは「ジャケどんなのかな」だったからです。


その結果はこの記事のトップに貼っているように、予想以上にやたらめったら格好良いアートワークでした。ジャケマシヤサイマシカラメです。
...ちなみに、このアートワークはIctusメンバーでギターを務めるHugo氏の原案を基に描かれたそうです。いいセンスだ…

アートワークがどういったものか、私がやたらと過敏に反応している方の人間だとしても、リスナーをIMPERIVM状態にさせるにある種必須ともいえるもの。
そしてもちろん、他の視覚情報としましては、CD表のイメージピクチャや歌詞カードなんかのコンセプトイメージなども大切となってきますね。

俺たちの"新しい"再発

上記3項目で色々と書き殴りましたが、まとめますと、

  1. 再発するにしても、やはり"ただの"再発から脱却した方がいい
  2. 要するに再発元の音源との差別化 (アートワーク、新たな付加価値etc...)
  3. それら差別化した要素を如何に早い段階でリスナーに公表、共有できるか (IMPERIVM状態に持っていけるか)

といったところです。今回のIctus再発企画では企画段階から結構どういう差別化がされるのかが公表されていたので予め新鮮さ、興奮を覚えていましたが、
やはり実際音源が届いてみるとそれ以上に「全く新しい音源感」を有していました。この想像以上の感覚には本当に驚きました。

実のところ、アートワークが発表される前や、実際手に届くまでは各収録音源を分けてiTunesに登録しようかと考えていたので(1stは1stで、という感じに)。
しかしながら今回の3LAさんの『気張り』、その熱意を目にすると、それが許されないものであるかのような錯覚に陥りました。それほどの新鮮さがあります。

そして上記の3点目、これはインターネットやSNSが普及している現状を逆手にとることです。3LAさんはもちろん、Twitter等を通じて発表してくれます。
次いで熱心な3LAフォロワーの方々が「やべぇ!Ictus再発くるぞ!」なんてツイートをすると、そしてその人が多分に影響力を有している場合であれば尚更、
「おっ、私も買おうかな…」という方が増えていくことに繋がっていくチャンスが増えていきます。Ictusについて全く知らない方もリアクトするかもしれません。
しかし、それこそ再発の大きな意義、狙いの一つでもあります。どれだけ売れるかではなくて、どれだけ新たな方々へと当該作品の魅力を伝播できるか。

この一連の流れをスムーズに導けるのはやはり、我々が愛してやまないインターネットの恩恵ですね。3LAさんも活用していたところです。


そういう意味において、今回の"Complete Discography"は、"新しい"再発への進化を遂げることに成功していることは疑いなく。さすが俺たちの3LAだ!


...はい、少々長くなりましたが、ようやく音源のレビューに入りたいと思います。ここからこの記事の第二部です彡(゚)(゚)<まだまだ続くんやなw

俺たちのIctus

ネオクラストというのはそれこそ水谷さんがライナーノーツで書き記しているように、一様ではないサウンドスタイルであることが特徴です。
その発祥となる国、地域、そこで生きてきたが故に抱き確立した思想や感情、それらが歌詞、ひいてはサウンドに色濃く反映されるジャンルであります。

このIctusは、クラストの持つ攻撃性を多面的に解釈しつつも、その尖った怒りを宿したストレートなサウンドをぶちかましてくれる、直情的なタイプ。
対して、サウンド面で一手引いた位置から自身の持つメッセージを「滲ませる」ことで伝えようとしているのがFall Of Efrafaとかですかね。

今作の3~8曲目に収録されている1stからIctus伝説は始まったわけですが、この時点ではかなりクラスト要素が強く、粗削りな部分が多くみられます。
序盤の楽曲はパンクの疾走感やブレイクダウンを有したハードコア寄りの要素を単純に、しかし故に明快かつブレることなく基盤とするスタイル。
鈍り重いベースの音作りを始めとしてスラッジに通じた錆びた匂いも漂わせつつも、やはり紡がれるリフのメロディはこの頃から光るものがあります。

とりわけ(今作の)6曲目以降では、その後にリリースされるスプリットに近しい雰囲気を醸し出していますね。いわゆる静と動の構成
確かに直情的、ストレートでもある彼らですが、一色の怒りのみを抽出しているわけではないのがミソ。怒りと同じくして、哀しみも垣間見れます。
ブレスパートや突如現れる叙情的なメロディはそういった側面を表しているのでしょう。その情動が入り乱れる表現方法を、既に会得していることが窺えます。



次に今作で1、2曲目を飾るスプリット楽曲陣ですが、先ほど説明した1stより一年後に出されたものです。本当にこの1年の間に彼らは何を見たのか。
それほど衝撃的な楽曲となっております。特筆すべきはOkbanとのスプリット楽曲、"Los Restos De La Esfera"私はこの楽曲がIctusで一番好きです。

まず、何よりも1stに比べて段違いに構成力が増しております。それは楽曲のランニングタイムからでも容易に想像することが可能でしょう。
叙情的なパートは研ぎ澄まされ、感情の振れ幅が広がっています。加えて、サウンドスタイルを形作るためのソースが増加しています。

ブラストビートと(重々しさはあれど)トレモロリフが絡み合うその様はブラックメタルのそれですし、スラッシーでメタリックなパートも盛り込まれております。
磨かれた感性、もちろんそれは歌詞からも汲み取ることが可能です。この点に関しては是非とも自身の眼で見て頂きたいところ。
十数分をただただ喚き暴れ回っているに非ず。サウンドを通じても、鋭く光る、彼らの知性を有した眼光を感じ取れること請け合いです。

対して2曲目、This Thing Called Dyingとのスプリット楽曲は、スラッジ、そしてパンキッシュクラストの様相が入り乱れるものとなっております。
展開を経るにつれて徐々にこちらを引き込んでいくのは、ギター陣のメロディ、そしてラストパートで見れるその応酬、その留まることのない切り付け。
沸々と盛り上がっていくその軋む精神の隆起を味わえます。ムキムキになります。実は着痩せする方、細マッチョ... その猛々しさには男性もメロメロ...ん?
また、以前とは異なりNacho氏のヴォーカリゼーションの幅も広がっているのも素晴らしい点。一辺倒ではない、まさに「激情」を以て殴り掛かってきます。



そして、その2年の月日、8の楽曲を経て作り出されたのが、ご存知2ndにあたるネオクラストの金字塔ともいえる作品、"Imperivm"です。
この楽曲こそまさにIctusの真骨頂ともいうべき作品であり、他の追随を許さぬほどの唯一無二の頂に君臨しているわけなのですが、
全1曲で40分弱という構成、そして異次元ともいえる領域に踏み込んだ作品故に、他の楽曲と同じディスクに収録してはならないと思わせる「圧」を呈しており、
過去の3LAさんを以てして「今後ディスコグラフィー化はされることはないだろう」と言わしめたキワモノ。...時の流れとはかくも胸を熱くさせるものです。

最初からエネルギーを爆発させ泣きのメロディをかませてくるため、皆が皆IMPERIVM状態となりIctus汁ぶしゃー(船橋市非公認)して倒れます。
そこからしばらく、心地良く風を切る疾走感、そしてこちらの身体に腕を伸ばし、掴み決して離そうとしないメロディに血肉を搾り取られ骨抜きに。
15分を超えた辺りで男泣き必至の重たき汗飛び散るギターソロがかまされ、その情動は収束、ブレスパートへと移行していきます。

ここのメロディもまた、静かに身体へと沁み、呼吸を忘れるまでの満足感を喰らわせてきます。この時Nacho氏はクラウチングスタートの構えをして爆走準備中。
Fernando氏によるドラムの響き、熱の強弱、それらはここで今一度再認識させられることでしょう。19分を超えた辺りで再び鈍き激音が立ち上がります。

もうそれはそれは血沸き肉躍るため、体内が熱くなってパンツ一丁になってしまうのです。リスナーも搾り取られ床に散った血肉たちを拾い集め再び男祭りへ。
この楽曲は練られ澄んだ構成を持ちつつ、スプリット楽曲では認識し難かった知性で翳りを纏っていた憤怒、それをより直接的に、大胆に取り込んでいます。
それが直観的に理解できるのは、27分を超えた辺りで飛び出す血が滲むアメリカに対する声明。ここからIMPERIVM最終章へと突入していきます。

以降、怒りが撒き散らされ、炎が舞わんばかりの行進が。その先にラスト、ブレスパートが待ち構えており、どこか落ち着いた感触を有する感情が露呈。
哀しみを露わにさせるのはもちろんギター陣。奏でられる音像からは如何ともし難く、行き場のないアメリカへのやり切れぬ想いがひしひしと垂れ流されるのです。
ドラムを伴ってそれらは爆発しようと試みるものの、やがて収束し、水面下へと沈んでいく。俺たちのImperivmは、こうして幕を下ろすわけです。





これら全9曲が以前のIctusの全てであり、またそれを通じてリスナーも「何か」を得ることができる、まさに音楽の向こう側ディスコグラフィー
目下最新作の"Imperivm"ですら既に7年前の作品ながら、そこには全く色褪せることのない彼らの生きた思念が詰め込まれています。

俺たちのIMPERIVM

まさにクラウチングスタートを強いられる爆発力が必須の楽曲故、自然とこのような表現が表出します。

これは楽曲中でも「静」のシーンのため、Nacho氏(Vo.)は今か今かと「動」を待っているわけです。

それだけでも充分"エモ"が伝わってきますが、やはり最も"エモ"いのは背後のFernando氏の表情。

一瞥しても何を思っているのか掴めない表情、我々はもうIMPERIVMに飲み込まれるしかないのです。








こちらは上記のパートより少し経ったあとのワンシーン。

そろそろ立ち上がろうかとしている風景ですがご覧ください、Nacho氏は足の親指が気になっています。

それはまさしく「自然な行為」、立ち上がるには脚が何よりも大事。そのケアの必要性を訴えています。

恵まれた心身を持っていても常に自身を気遣う配慮は常に心に留めておかねばならない。

その理をIMPERIVMに見るとき、我々は再び"エモ"を知り、明日へと踏み出していけるのです。









俺たちのネオクラスト

いきなり話こそ変わりますが、ブラックメタルという音楽領域においても、既にその派生体系の呼称、表現において限界が見られている時分です。
例えばHarakiri For The SkyとKrallice、絶対的に違う両者すらも一緒くたとなって「ポストブラックメタル」と表現されていたり、もうしっちゃかめっちゃか。
しかしながら、ネオクラストというジャンルよりは遙かに表現するに易く、言い方に幅があるのも確かです。では、ネオクラストとは...

基盤にハードコアを置いてこそいるものの、私自身、ポストハードコアとネオクラストにある「壁」を認識できてはいない状態です。何が両者を分かつのか。
Fall Of Efrafaは確かにネオクラストと呼ばれていた… じゃあ、今のLight Bearerはもうネオクラストではないのか?ポストハードコアと自称しているから?
あるいは、初期のDownfall Of Gaiaはネオクラストだったのに、今ではもうポストメタルと呼ばれ。それは大手のMetal Blade Recordsに移籍したから?

...その確かな定義がないからこそ、上記のようなアーティストはジャンルフレームの上で未だふわふわ浮いている状態です。
まあ、その状態でいいのではないのかとも言えます。ジャンル分けなどというのは、個々で自由に決めてもいいものだとも私自身感じているからです。
だからといって、これはこのジャンルだなと決めるための指標、それらの定義がふわついているのは少々勿体ない。そりゃ世界共通語となるのです。

そう、ネオクラストというジャンル自体が確かに存在しているのは事実で、その代表格にIctusが確かに位置づけられているのもまた事実。
では、俺たちが触れていく今後のネオクラスト。それはもう、このIctusに全てを委ねてしまってもいいのではないか。そういった感覚を私は覚えます。
現在Ictusは新たなドラマーを招集し、現にゆるりと、それこそ水面下で羽を伸ばそうとしている状態です。すなわち、上記の流れで考えるのであれば、
「ネオクラストとは何か」という曖昧で不安定な問いに対し、いつか来るIctusの新たなピースが答えてくれるのではないかという... そんな期待が、私の中では。

恥ずかしながら私はハードコア畑の人間ではない上、まだまだネオクラストという領分に踏み入り始めたばかりの人間です。
そんな私から見ても、今、ネオクラストというジャンルは呼吸をするのを止めているのではないか、静まっているのではないかと感じている次第で。
決して風化しないアーティストの想いを秘めたネオクラストと呼ばれた楽曲、作品、それらを過去の遺物だと言ってしまうのはあまりにも...

走るのを止めたわけではなく、クラウチングスタートで構えている状態だと思いたい、いや確信しております。果たして誰が火蓋を切って落とすのか…

このIctusのコンプリート・ディスコグラフィーを何回も何回も聴いている内に、ふと頭を駆け巡ったことでした。

俺たちの「未来」

途中から上で少々格好良い言葉を並べているのはお酒を飲みながら書いていた時だったからですね(突然の告白)

何にせよ、ネオクラストの未来、その先を創っていくのは、それを日本という国で伝えていってくれるのは、他ならぬ俺たちの3LAさんなんだろうな、と。
既に過去の名盤の再発、また新たな刺激的な作品の製作を計画しているとのことで、もう我々もそれだけでIMPERIVM状態なわけなのです。
そして、そのアクションに呼応するが如く、リアクトしていくぽたく達のサポート、熱意が今以上に盛り上がっていくべきなんだろうな、と。

今作がそういった火種、皮切りになったことは言うまでもないはずです。冒頭にも言ったように、このリリースは事件レベルに近いもので...
またもちろん、今後ネオクラストというジャンルがなくなる可能性もあります。Re-Neocrustとして、新たなジャンルが定義されることとなるやもしれません。

是非とも、そうなるにしても、そうならないにしても、そのシーンの「移ろい」を第一線で目の当たりにしたいものだと強く感じている次第です。



以上、ban_off_jpのシュッシュ音楽イクゥッ!、史上最長の記事でした。後半はもう勢いで書いてますがさすが私、勢いだけでも格好良い言葉が並びますなw
最後に、「是非意見等があれば、次回以降のリリースの参考にさせて頂きたいと思います」との3LAさんのお言葉に甘えまして。










私、数百円値段が上がってもいいので和訳/ライナーノーツの紙、冊子仕様が良いです。

Order and Notable Songs

Order
Physical Digital
LongLegsLongArms※1 non?

※1: 他にも複数の店舗、レコード屋さんで販売している模様。詳しくはこちらのIctus再発特設ページの方で確認してみてください。




Notable Songs

→→→Track 1, "Los Restos De La Esfera"



→→→Track 9, "Imperivm"