Chaos Echœs - "Mouvement", 2018.

Country Genre Label Type Buy
France Avantgarde Black/Death Metal NWN! Full Length Bandcamp

フランス産アヴァンギャルドブラックの新鋭、待望の2nd(私の中で)。

1stEPである"Tone Of Things To Come"の頃からサウンドレベルでアジア圏の古代思想、ひいては文化へと強く結びついており、アヴァンギャルドブラックとは一口に言っても、捉えどころの難しいミスティカルなアンビエント要素を多分に押し出しているタイプのバンドです。フランス産ですけどね。

前作のアルバム"Transient"から早3年なわけですが、かなり作品としてのアプローチに変更点があります。さすがの進化具合といったところ。

今作はヴォーカルがほぼほぼ収録されておらず、"Transient"の約半分、30分強のランニングタイムで作品が構成されており、その間をとにかく駆け抜け、瘴気振り撒くまさしく「動」な仕上がりに。ほんと時には起こせよムーブメントです。

序盤からダイナミックなブラスト、その音数と、デスメタルへとにじり寄った不穏なギターのリフレインにただただ圧倒されます。このリフレインがまた素晴らしく、反復されるほどに狂気を垂れ流し始めます。下手に不穏な雰囲気を醸し出そうと冗長な展開を用意したりなどは一切しておらず、「アンビエンス? 音のあとから憑いてきてるだろ?」と言わんばかり。

ただ若干、「ん? このフレーズ前の作品で聴いたな…」という部分もないことはないのですが(全作をチェックしているオタク故か)、返せば難点はそれくらいのもので、とんでもなく禍々しい作品が世に出てしまったな、というのが正直なところ。マジモンですこれは。

作品のラストは無印SIRENを想起させるブレス/チャントパートで締め。瘴気を世界に撒き散らし尽くした先の余韻のようなものを感じますね。当方はレコードで購入した次第なのですが、やはり大正解。H Jungle with Chaos Echœs、全身で感じて欲しいところ。Blut Aus Nord(聴いたことはありません)などのサウンドアプローチに感度が高い方へとオススメです。

確実に今年のベストに喰い込む逸品であることは疑い在りません。是非とも!



下は比較的ミドルテンポなB面の楽曲。是非ともBandcampなどでA面群を御賞味頂きたい。話は変わりますが、基本的にアートワークやインナーイメージはすべてベースのStefan氏が担当しています。彼のヴィジュアライズセンスがかなりツボでして、それ含めてデビュー当時から追いかけています。画集とか出しませんかね?