Best Albums of 2013: II
あけまして
おめでとうございます。本年もどうぞどうぞ、よろしくお願いします。はい、ブログを放っておいたらいつの間にか2014年になっていました。
今回は2013年総括、年間ベスト記事第2弾です。第1弾(オリジナルフルレンスアルバムランキング)はこちら。以下は留意事項となります。
- 今回の記事ではオリジナルフルレンスでない、他の形式を取った音源を取り扱います。EPやスプリット、ミニアルバムなど、その数15。
- オリジナルフルレンスなのか、その他形式なのか明言されていない曖昧な音源もありますが、それはこちらで判断、区分しています。あしからず。
- 再生回数等でなく、素晴らしいと感じた音源を順に列挙。いわゆる通例の年間ベストと同じ手法です。
- 取り扱う音楽領域に関しては特に指定はありません、グチャグチャなランキングになります。成り立っているのかは不明。
- 一応、各音源の紹介枠の最後に購入可能先のリンクを貼っていますが、フォーマットにては「non」と表記している場合もあります。ただそれはどこにもないという意味合いではありません。この表記を見た場合はお手数ですがiTunesで検索してみてください。見つからないものもありますが...
- プリキュアはよくわかりません夜道気を付けます
それではまいりましょう。15位からどうぞ。
15. Tony Dutcher - "East & West"
Country Label Genre Type United States independent Psychedelic Rock EP ウェスタンな乾いた空気漂うサイケデリックロック、2nd EP。
気の抜けるようなヴォーカル、楽曲の合間に顔を覗かせるソウルフルなギターソロも良し。音質はDIY志向故かそこまで高くありませんが、それもまた味が出ているといいますか。
うねるようなリフを始め展開も面白く、中毒性の強いライクアメリカなラウンジロックです。テンガロンハットとウィスキー片手にどうぞ。親父、バーボンをくれ。
どうやらName Your Price/Freeを重視しているそう。こちらとしては無論嬉しい仕様ですね。聴き応えのあるEPで、いずれ来るアルバムにも期待です、と締めたかったんですが、
11月に1stアルバム出してました知らねーよそんなのBuy Digital→ Bandcamp
Buy Physical→ non
14. Solar Soma - "So Much For Style"
Country Label Genre Type Australia independent Alternative Heavy Rock EP 豪州発新鋭オルタナロックバンドの1stEP。OpethやSoundgardenに影響を受けているそう。
いやはやこれがまた謎の高クオリティでして、初聴のときは驚いたものです。
ヘヴィなサウンドを軸に、しっかりとした構成で構えています。音作りも良い。力強く突き抜ける女性ヴォーカルも印象的。各メロディも耳に残る、良曲が詰まったEPです。
現在アルバムを制作中、非常に期待が高まります。フィジカルで出してくれていいんよ?こういったジャンルの音楽をほぼ聴いていなかったせいか、やたらリピートしていた記憶が。
少し垢抜ければメジャー感が漂いそうなアーティスト、1, 3曲目がとても素敵です。Buy Digital→ Bandcamp
Buy Physical→ non
Country Label Genre Type Netherlands Sulphurous Shoegazed Electronica EP ご存知オランダのギリギリCHOPおじさん、Mories氏によるプロジェクト。
2013年を飾るSeirom三部作(勝手に呼称)の第二弾。De Magia Veterumは何処へ今作はお家芸でもあるノイズ祭りにシューゲイズのエッセンスを加味した作りに。
重々しいドローンノイズが表情を変えつつ後方で鳴り響く中、
優しく冷たいギターとシンセサイザーが奏でられています。バランス調整は流石の一言。Sulphurousなる新設レーベルからリリースしたため漁りにくい音源でもあるのですが、
Seirom、ひいては2012年のアルバム"1973"がお好きな方は要チェックな品物。Buy Digital→ Bandcamp(Sulphurous)
Buy Physical→ Please send a mail to Sulphurous-Productions[at]hotmail[dot]com
12. Fabio Orsi/Pimmon - "Procrastination"
Country Label Genre Type Italy/Australia Home Normal Artificial Ambient Co-Production レーベル渡り鳥な実験音楽家二人による共同制作音源。以下コピペ楽だなこれホント
Fabio氏の質感の固い平面空間を想起させるお得意サウンドがベースとなっており、
その空間を押し広げるかのように加えられたノイジーなシンセサイザーパートが響きます。温かな感触を肌に与えてくれるのはFabio氏のギター。言ってもパート少ないですが。
白い雰囲気を纏った4曲で構成され、ドローンらしくゆったりと音が流れていきます。後半に進むにつれ音、構成の抑揚が垣間見えるのは実力派ならではか。
エクスペリメンタルな部分に切り込んだMaurizio Bianchiなどがお好きであれば是非。Buy Digital→ Bandcamp
Buy Physical→ Home Normal
11. Khmer/After Forever - "Khmer/After Forever"
Country Label Genre Type Spain/Japan LongLegsLongArms Blackened/Metalic Hardcore Split 3LA氏のレーベルリリース第一弾。ネオクラストの雄Ictusのメンバー擁するKhmerと、
ex-September Decemberなどのメンバーが在籍するAfter Foreverのスプリット。双方ともに重く、鋭きアグレッションで構えたスタイルを展開、
ハードコアを基軸に据え、Khmerは尖ったブラックメタルの様相やパンキッシュな疾走感を、
After Foreverはスラッシーに刻まれるメタリックなリフやカオティックな骨組みを。
サウンドを通じてダイレクトに伝わるのは、それらの確固としたオリジナリティです。ネオクラストやハードコアの可能性を押し広げる、フラストレーションエクスプロージョン作品。
Buy Digital→ non
Buy Physical→ LongLegsLongArms
10. Dir En Grey - "The Unraveling"
Country Label Genre Type Japan Free-Will Alternative Rock Mini Album みんな大好きデルリアンポポリロリレイのミニアルバム。既発楽曲の再構築がコンセプト。
1曲目以外は再構築モノですが、ファンの方ならお分かりのとおり、手の加え方は面白い。
京さんもここ数年の目まぐるしい進化を経て参戦、しなやかに歌って/叫んでおります。かなり前の楽曲もあり、以前の輝きがほのかに香るあたりも素敵。鬼葬厨の私も歓喜。
新曲"Unraveling"で魅せる、現在のデルリアン節も注目。アヴァンギャルドな攻めも格好良い。ただ未だに引っ掛かる点が1つ。大目玉はやはり再構築"Macabre"なのですが、
生産限定盤(高価)にしか付いてきません。アイエエエエ! デルリアン!? デルリアンナンデ!?
アンプラグドはまだしも、この楽曲があるかどうかで評価等は大幅に変わるはず。ウーム。ただ私は大ファンなので満足度はものすごく高かったです。来るシングルも楽しみ。
Buy Digital→ non
Buy Physical→ Amazon
9. Cult Of Luna - "Vertikal II"
Country Label Genre Type Sweden Indie Post Metal EP 次世代的未来少年コナンメタルバンドによるEP。タイトル通り"Vertikal"の続編です。
もちろん作風もその延長上にあるもので、都市的かつ無機質な世界を表出しています。無印よりはアトマスフェリックなサウンドスタイルであり、ほぼスロウテンポで進行。
静と動が入り乱れるというよりは、音が波打っている感覚を覚えます。相も変わらずサンプリングやシンセサイザーを受け持つAnders氏の手腕が光る一品。
ラストに据えられた某Justin氏のリミックス楽曲も素晴らしい。Godflesh新作はよ。そうはいってもただの補完的なものだろう、なんて当初は思っていましたが、
2曲目"Light Chaser"を聴いて心を改めました。ペペペペペペポポペペペペペペポポ...
8. Under The Snow - "The Background Noise"
Country Label Genre Type Italy Silentes Artificial Ambient EP 私五条がこよなく愛するイタリアの鬼才、Stefano Gentile御大によるプロジェクトのEP。
日本まで送料込で3,500円。12"EPながら片面1曲のみ収録。たった17分の実験音楽です。
日本まで送料込で3,500円。薄ら響くシンセサイザーとミニマルノイズが絡み合います。延々。
日本まで送料込で3,500円。時折、ギターの弦を弾く音が介入。ペィン...ペィ↑ィイン!....
日本まで送料込で3,500円。パッケージはLPスリーヴと表にしか機能していない紙一枚のみ。
日本まで送料込で3,500円。オマケなのか、よく分からない風景の写真が付属されています。
日本まで送料込で3,500円。タイトル通り、ザ・バックグラウンドノイズ。この一言。しかしてこの8位というランク。なぜか。Stefano様だからです。
※稀ではありますが、このように感覚が麻痺する場合がございます。アンビエントや実験音楽には十分に気をつけましょう。Buy Digital→ non
Buy Physical→ Silentes
7. Nightbringer/Dødsengel -
"Circumambulations Of The Solar Inferno"
Country Label Genre Type United States/Norway Daemon Worship Black Metal Split カルティックな様相を纏うブラックメタルバンドによるスプリット。プチ意外なコラボです。
Nightbringerはいつも通り、手堅く、しかし高水準な楽曲を用意。実においしいです^q^
かき鳴らされる不穏なトレモロリフ、それを内包する形で広がっていくリズムギターの波。
そんなサウンドとは裏腹に閉塞していく感触の中、要所要所で飛び出すチャント群もよい。もちろん我らがDødsengelさんもほぼいつも通りのリチュアルブラック。
2012年リリースの「クロウリーを探して三千里アルバム」、"Imperator"に作風は近いです。
ただ、耳に馴染みやすいトレモロリフが多い分、キワモノ感は薄れて聴きやすくなっています。
スプリットという形式、そしてコンセプト故かKark氏も全開で謳いあげてはいないご様子。
それでも格好良いのだから困ったものでして。枠こそあるように感じますが、やはり楽曲自体は一級品。這いずるカルトな楽曲をお楽しみ下さい。
Buy Digital→ Bandcamp(Daemon Worship)
Buy Physical→ Zero Dimensional, Bandcamp(Daemon Worship)
Country Label Genre Type United States independent Doomed Sludge Metal EP アメリカ発、ファンキーな身内ノリで結成されたバンドの1stEP。
錆びた匂いが漂うスラッジメタルを展開しますが、他ジャンルの要素も随所に。
ドゥームの要素も帯びつつミドルテンポを基軸にサウンドが刻まれます。ただ、身内ノリで発足したとは思えないくらい楽曲が格好良い。なんだその身内ノリは。
猛々しく咆哮するヴォーカル、一辺倒にならないように添えられるメロウパートや、
ブラックメタルよろしく疾走する場面も。特に1曲目ですが、非の打ち所 is なし。
マジガチクールな作品。EP形式だったことも確実に良い方向に転んでいるはずです。しかし身内ノリだったゆえか、春先からFacebookの更新も途絶え、消息不明に。私待つわ。
Buy Digital→ Bandcamp
Buy Physical→ non
5. Stefano Guzzetti - "Un Posto Anche Per Me"
Country Label Genre Type Italy independent Neoclassical Electronica Compilation イタリアの音楽家によるコンピレーション音源。
ピアノやアコースティックギターを用いて、情景を描くようなサウンドを紡ぐのが彼の持ち味。
その音彩に、柔らかなドローンシンセサイザーを添えた楽曲は確かなもの。それだけに留まらず、デジタルノイズやストリングス、サンプリングまでも積極的に導入、
違和感なく織り交ぜられているのがまた驚くところ。優しい音で満たされること必至です。わしはブラックメタルなんぞ知らん
純粋な青年ですBuy Digital→ Bandcamp
Buy Physical→ non
4. Blut Aus Nord - "What Once Was... Liber III"
Country Label Genre Type France Debemur Morti Black Metal EP 私五条隆志といえばもちろんBaN。こちらはWoWシリーズの三枚目にあたるEPです。
フルレンスアルバム群の残滓ともいえるシリーズであり、暴虐性と狂気が染み込んでいます。
気色の悪い単音リフはもちろんのこと、ねちねちと絡みつくグロウルはそのままに、
攻撃性に特化した重く響くドラムが特徴的。全体的にソリッドな音作りではないのも面白い。Vindsval氏が日々抱いているイライラがここにぶつけられています。不要感情処理場です。
近年の作品にはあまり見受けられない「ブラックメタルらしさ」を欲している方は是非。
まあブレスパートまで気味の悪いSEを漂わせてくるあたり趣味が悪いですね。いつも通り。ツンデレです。
Buy Digital→ Bandcamp(Debemur Morti)
Buy Physical→ Amazon, Eitrin Editions
Country Label Genre Type United States Gilead Media Atmospheric Black Metal EP 2012年に世間を騒がせたアルバム、"Cold Of Ages"の後に特殊召喚されたEP。
アートワークの如き禍々しさ、氷結ストロングより冷え切ったアトマスフィアがウリ。上記作品の延長上といえる作風(この文言何度も使ってる気がするな)で、やたら無機質な仕上がり。
2曲で35分弱という不安な構成ですが、静と動を移ろう緩やかな展開で魅せてくれます。若干くぐもったドラムサウンド、一手退いた地点からこだまするハーシュヴォイス、
淡々と鳴るトレモロリフなど、全編通して不透明なドス黒さが滲み出す良盤。しかしなぜCDで出さないのかGilead Media発だからかそうかそうなんだなそうか
Buy Digital→ Bandcamp
Buy Physical→ Psychic Violence
2. Year Of No Light - "Vampyr"
Country Label Genre Type France MusicFearSatan Atmospheric Post Metal Compilation 1932年の映画、『Vampyr』(邦題:吸血鬼)をヒントに構築した楽曲群を演奏したライヴアクト。
彼らの2ndアルバムでもある"Ausserwelt"の楽曲もリミックスされて収録されています。
ヒント先の如く、モノクロ調を意識した、陰りのあるサウンドスタイルがベース。
ドローンサウンドも多用され、シンセサイザーの活躍が目立ちます。超!アトマスフェリィィィック!持ち味であるツインドラムは今作では控えめ。ただその分、随所での仕事っぷりが光ります。
長いランニングタイムですが、ストーリー性を重視している分、「流れ」には陰りなし。
ラスト3曲こそがハイライト。さながら津軽海峡のように鳴動します。冬景色です。
コンセプトがしっかりしていながら、なおも個性として組み込まれ紡がれるYONL節には圧巻。ちなみに"津軽海峡・冬景色"は母のカラオケの十八番らしいです(本人談)。
Buy Digital→ Amazon, Bandcamp
Buy Physical→ Amazon, MusicFearSatan, Init
1. Seirom - "Goodbye Cold Nights"
Country Label Genre Type Netherlands independent Shoegazed Trance EP 既出であるオランダのLOVE PHANTOMおじさんことMories氏が繰り出したEP。
今作はトランスの要素が強く、いささかサイケデリック。他の作品とは少し毛色が異なります。
波のあるエレクトロニクスにヴォーカルサンプルが交差する独特の音像が聴きどころ。正直2013年、1曲目の"Goodbye Cold Nights"を超える衝撃に出会いませんでした。
もちろん、「これの方が良いでしょ」と俯瞰して捉えることのできる楽曲もあるにはありますが、
初聴時のインパクトは他の追随を許していません。この感覚を優先しての第一位となります。やはりMories氏はすごい、と改めて頷き叫び舞わせていただきました。
持ち上げ過ぎかもしれませんが、2013年ベストソングも是非同曲に捧げたいところ。We are the Seirom, We are the Children.
Buy Digital→ Bandcamp
Buy Physical→ non
おわりに
はい、如何でしたか。相変わらず長く、滑っている文章のオンパレードとなりました。その分パッと見の見やすさは意識したところです。
昨年は楽してタイトル等をただ羅列しただけだったので、今年は少し気張ってみました。すごく疲れましたもう二度としません(I swear.)語彙力もないのによく40作品も紹介したなと自分でも驚いている次第です。2014年ベストは上位1位だけ書きますねホント。
「そのランクはねーよwwww」から始まり、あれがないこれがないなどはコメントで頂けると嬉しいところですが、もうTwitterありますしね。ブログいらねーんだよこのランキングに入っていないながらも、紹介できていない良盤もございます。それの処置はどうしたものかと思案中です。
この記事が何かの参考になれば幸い、何の役にも立たなかったのなら私がビクンビクンします。それでは、2014年も当ブログをよろしくお願いします。