Dodecahedron - "Dodecahedron"

・Artist Information
Country : Netherlands
Creation : 2006
Genre : Avant-Garde Black Metal
Label : Season Of Mist

・Album Information
Year : 2012
Release-Type : Full-Length (1st)

Tracks are

  1. Allfather (06:17)
  2. I, Chronocrator (07:27)
  3. Vanitas (10:48)
  4. Descending Jacob's Ladder (05:04)
  5. View From Hverfell I : Head Above The Heavens (04:17)
  6. View From Hverfell II : Inside Omnipotent Chaos (08:09)
  7. View From Hverfell III : A Traveller Of The Seed Of The Earth (10:21)

Total Time (52:23)

・My Comments I
オランダアヴァンギャルドブラックメタルのドデカへドロンさんの1stです。
十二面体という意味のアーティスト名ですが、ヴォーカル兼アートワーカーのM.Eikenaarさん曰く、

「フヒwww 黄金比なんっすよ、十二面体ってwww こっから生まれるペンタグラムもチョーぱーふぇくつって感じでwww もう魔法の力ビンビンって感じでwww ビクンビクンつってwww 宇宙とか自然とかにもこんな美学が転がってるんですよwww おいおい、それって俺らの在り方にチョーまっちんぐ、俺(以下繰り返し)」

とのことで、まぁそんな由来らしいです。

あと今のところライヴパフォーマンスなどは考えていないとのこと。ニートですね。

リリックはサウンドより派生したモノ、というスタンスで描き出されており、サウンドに合わせたケイオティックかつダークなイメージングが施されています。
言及されているのは専らオカルティズム、及びキリスト教における美学です(反キリストではございません)。

一曲目や六曲目のタイトルからして、キリスト教(及びユダヤ教)について言及しているのが分かります。
言い回し含め、リリック内ではさながら幾何学的にそれらを内包する形をとっており、
それらのスタンスのソースがサウンド、ということになります。

そして、大きな特徴としては、全体的なコンセプトが無い、という点です。
まー作曲期間が六年もかけられていれば楽曲の立ち位置が相互に反発するでしょう。
尚更アヴァンギャルドならそもそもそれを容認していたと考えるのが妥当ですね。

そうすると私は「おろろろろ」となってしまうわけですが、そうやって明言されるとこちらもそれに合わせてアプローチが可能というわけです。



と、いうことは。何よりもまずサウンドを読み解いてね、ということになりますね。

・My Comments II
―ということでサウンドのお話に。このアーティストのイデオロギーを読み解くにはサウンドへのアプローチが第一、ということになりますが、

そもそもサウンドなんて言語で変換できませんよね。

無機質だ、とか、もの悲しさを覚える、だとか、既に枠がかけられた言葉を用いてしか我々はサウンドを言葉で表出することは出来ません。
そして、便利な逃げ道として"Feeling"という言葉があるわけですが。
そういった無形の概念をこの次元や言語に表出するプロセスがレビューとなるわけです。
ちょっとお話が脱線。まぁこれを踏まえて、このブログでは人々がよく行うサウンド描写や言語変換でサウンドを紐解いていきます。



ブラックメタルをルーツとしている、とはいうものの、実際はアヴァンギャルドの側面が非常に強いと思ってくれて結構です。
また、無機質である為、音彩、という便利な言葉にも逃げれません。
まぁ今流行のジェントって言っても感じでも良いわけですが、メンバーが

「は?ざけんな俺らジェントって言われんのが一番嫌なんだよ訂正しろう○こ。」

とインタビューでキレているのでそれは禁句。

随所にアトマスフェリックサウンドは盛り込まれていますが、それには感情が伴っておらず、
いわゆる空間的アトマスフィアとでも言うべきサウンドを展開しています。

ヴォーカルはハーシュヴォイスですので、まぁそこはブラックメタルらしさの名残かなと。
うねる単音の音を紡いでリフとするギターや、変則的にBPMを上げたりするドラムなど、Deathspell Omegaの5thを思わせるアプローチも所々に配置。
より無機質ながらも、ミスティカル/アトマスフェリックパートはBlut Aus Nordからの影響もあると言えるでしょう。

でもこのアーティスト、出身はオランダだけどね(笑

・Generalization
―リリックはサウンド由来、そもそもコンセプトが瓦解しているなどという点からして、
この作品の本質を突くのならばあえてサウンドだけに耳を傾けることも一興です。
全くベクトルは異なれど、アンビエントなどへのアプローチと同じ、という感じですかね。
アヴァンギャルドサウンドが好きな方は是非どうぞ。Amazon様等から容易に手に入るはずです。

メンバーさん曰く、

「いやwwwちょwwwてらプロモ忙しすwwwニートさせてニートwww」

ということなので、次の音源はまだ先らしいです。次も六年後、というのは避けてほしいですかね。

・Notable Songs
―View From Hverfell I~III
 :かなりアヴァンギャルドではあるので、何がI~IIIやねん、って感じです。リリックも後付けである為、より読み取りは困難かと。
  それが魅力でもあるわけですが。イデオロギーの濃淡などに思いを馳せてみましょう。