Antinomian - "Nihilum Infandum"
Artist Information
Country : United Kingdom
Creation : 2012 (cf. Subvertio Deus: 2005)
Genre : Black Metal
Label : N:C:UAlbum Information
Year : 2013
Release-Type : Full-Length (1st)Tracks are
- The Incandescent Aberrance (11:29)
- Intergenesis Of Chaos And Void (11:44)
- Nihilum Infandum (02:33)
- Chained To The Lifeless (15:39)
Total Time (41:25)
私だ
はい、五条です。先月に比べめっきり涼しくなりまして、友達のジョンも「最近熱くなるのはベッドの上でだけだね」なんて笑
何かと季節の変わり目というのは体調を崩しやすいです、ご自愛のほどをシュッシュッさておき今回、そんな来る寒々しい季節に備えてBlack Me†alな一品を紹介。このAntinomianさんですが、不覚でした。
Subvertio Deusの転生先だったんですね。SxDxファンとしてあるまじきといいますか、気付くことに半年ほど遅れました。
一聴しておけば気付いたんでしょうが... なにやらN:C:Uが推していると思ったらこれでしたね。今回、これは良い機会だと言わんばかりのタイミングでして。というのも常々、前身バンドSubvertio Deusに関してぺちゃくちゃ喋くり回したいと考えていたんです。
もちろん、さっきから言ってるSubvertio Deusとは、の話も踏まえます。今回お話しする"とてもどうでもよいトピック"は、
「本当にSubvertio DeusはDeathspell Omegaの二番煎じバンドだったのか」
この一点です。
まあ、かく言う私もDsOに似たバンド教えて、などと言われれば割とすぐにSxDxを挙げます。
しかし、やはり両者の違いを明確に伝えるべきだという使命感がン♡って感じしたので、そこら辺を重点的に掘ってみましょう。ああ、Antinomianのレビューも織り交ぜながら行いますよ(忘れそう)
・My Comments I ~Subvertio Deus~
from 英国の紳士二人組によるブラックメタルバンドです。
2005年結成、3年間潜伏した後に1stからの先行楽曲を収録したデモを発売、
同年に1stにして最後のフルレンスアルバム、"Psalms Of Perdition"をリリースしています。
以下、この1stを"POP"と表記します。全然POPじゃないけどねそして昨年、超LimitedのLiveカセット音源をリリース。ここもポイントだったり。
周囲の評判は上々だったものの、この3つの音源のみを世に放って惜しくも解散…なんともツッコミどころの多い経歴です。
まず、リリース音源について。フォーマットは勿論議論からは外し、内容に着目。
全てPOPからの楽曲となります。まあ簡単な話、「POPのためだけにSubvertio Deusが存在していた」と考えるのが自然なわけです。
と高らかにいったものの、これは完全に結果論です。今こう言っても、かなりこじつけの色が濃くなる。
どうやらAntinomianの新譜も、SxDxでリリースしようと考えていたようです。確かにSxDxの延長上と言っていいようなスタイルで、切り口も似ている。
しかし今からしてみれば、SxDxで彼らが伝えたいことは、POPに全てつぎ込まれているということになります。当然と言えば当然ですが、大事な前置きです。
昨年解散、というのはやはり、Live音源を録って完結としたかったのかもしれませんね。SxDxの続編としてリリースするか、新たにAntinomianとしてリリースするか…
そのお悩み具合は、"Nihilum Infandum"の音源製作期間が2008年~2012年と明記されていたことから容易に想像できます。一旦離れまして。
喋くり回したかった重要なポイント、Subvertio DeusとDeathspell Omegaとの関連性についてみていきましょう。
・My Comments II ~Deathspell Omegaとの比較: その1~
Subvertio Deusの1st、"Psalms Of Perdition"が良く比較されるアーティストとして、
唯一にして絶対、不可侵であり不可知、”究極に有を有した無”の存在であるDeathspell Omegaさんが挙げられます。邪気…
というより、比較どころかよくDsOの二番煎じ扱いされています。私も特に異論はなく、もう「ウチらDsOの3rd大好きなの!!!」って一音一音から聞こえます。
ただ引っ掛かる点がちらほら。その筆頭といえるポイントが、あからさますぎる点です。そんな声を大にしてまで言わなくても分かるから、って感じまでします。
加えて、ブラックメタルですし、何せフォロー元がDsOです。この方々が口開けて真似して作った、とはどうしても思えません。いや、思いたくない…
思いたくないから、と以降都合よく解釈していくわけですが、私自身このスタンスは特に否定的ではないです。間違っていたらいたで面白いからですね。(若干悔しいが)
というわけで、色々見ていきましょう。これは「わざと似せてる」と感じる方も多いのでは?
以前このブログでも言及したはずなんですが(過去の記事は恥ずかしいので見返さない)、ブラックメタルを思想面でなんたらかんたら言う時、障壁となるのは、使用言語等の制約に始まる我々の理解度に限度があること、加えて、バンド側の思想の形骸化、この二点が挙げられます。
私も英語ですら半人前ですし、それ以外の言語など我らが父なる神、Google翻訳さんに頼りっぱなしです。
言うまでもないことですが、翻訳を真に受けると真意を汲むもなにもあったもんじゃないので、ほどほどに。低スぺ単語チェッカー程度の認識で(ド失礼)。この点について恐らくですが、SxDxはこの点を、POPというツールで糾弾しています。より直観的にいうなら、
「あ、今DsOの二番煎じだと思ったでしょう?それよそれ、直すべきとこ」
と訴えている。いやそういうこと言われても完全にガチフォロワーやん自分なにいっとん?って感じですけどね(逆ギレ)
こんな感じでSxDxでは「自分の音源がDsOの二番煎じだと批評されることを前提として」作品を提示しているととらえるのが自然です。
無論、メンバーがDsOをリスペクトしているのは間違いないはず。そうなると、DsOへの姿勢も見直してほしいとリスナーに訴えているとも考えられる。
その点を以下で見ていきます。
・My Comments III ~Deathspell Omegaとの比較: その2~
はい。これは、POP再発のリリックカードになります。
この仕様は、再発になってから新たに付与されたもの。
DsOのそれと比較すればすぐに分かることですね。注釈の存在です。こんな丁寧な仕様、流石は英国紳士といったところでしょうか。
これは視覚的に、事実的に、明らかにDsOとは異なる考え方を持っている何よりの証拠。加えて、雰囲気はあんなに神秘っぽい感じ出しておいて、このアーティスト、
スペシャルサンクス欄を惜しげもなく設けているんです。
・続き
ここにはそう、我らがNorma Evangelium Diaboliに関与するバンドの名もつらつらと記されています。例を挙げればAntaeusやOfermodとかです。
他にも、The Axis Of PerditionやNightbringerのメンバーにもサンクスを。若手ではOmega Centauriの名も。知り合いなんですかね。そうなんです、こんだけ挙げといてなら、もうお分かりのことだろうと思いますが、、、このスペシャルサンクス欄にて
DsOの面々についていっさい触れられていないんです。
嘘つけと。めちゃ自分DsOやんけと。反抗期かいなと。
そして3rd、まあ後期DsOと言いましょうか、との内容比較になります。ここには絶対的な相違点が存在します。
我らが厨二病患者を統べるモノ、絶対の究極悪ことSA†ANさん、この"Psalm Of Perdition"に名前すら登場しません。じゃあ間接的に触れてるんじゃね?という話ではありますが、まあ半分半分です。その点を思想云々の面から見ていきましょう。
・My Comments IV ~Deathspell Omegaとの比較: その3~
Subvertio DeusさんはMetal Archivesでも書かれている通り(というか凄いよねMAさん)、ルシフェリアニズム、グノーシス主義の見地に立っています。
グノーシス主義云々は割と有名ですね。異端扱いされる中での筆頭ともいえます。
対してサタニズムとも違う、よく分からんルシフェリアニズムですが、これもググれば出て来ます。便利な世の中になりました。以下で少し触れていきます。
POPでは主なる神と人間、二つの存在の対比等を含めた陳述が多くみられ、まあ「人間は"内"に降りていけば"神性"と邂逅できる」と謳っているわけです。
ゆーて神、そんなもんすか?って煽ってる感じですね(端的過ぎますが)対するDsOさんは主なる神に「いたく消極的な姿勢」で相対し、切り崩しています。この話はいずれしたいですね。クソ長くなりそうなんで多分しないんですけど
無限性、有無についての言及は、個人主義的見地にかなり近いものです。グノーシス主義がその性質を持っていると言ってもいいでしょう。
というより、個人主義の高等領域に踏み込んでいます。まあ、Blut Aus Nordさんほど体系化しているわけではなく、あくまで感知しているだけにすぎないかと(ステマ)この思想には、かのアレイスター・クロウリーさんも一枚噛んでいますね。
DsOさんとは異なる点であり、かつ魅力である点というのはここにあります。まあ思想的な面に関しても、DsOさんにひどく影響を受けたことは間違いないはず。
そして、DsOさんへの反駁でも恐らくないでしょう。リスペクトありきでサウンドを似せ、「違う点、気付きます?」みたいなことやってるって感じです。
Antinomianでは、中でも無という概念を、「神聖なる死」というタームを用いて謳っています。
ここらを掘り下げたいんですが、まあ面倒ですよね…。そこまで宗教やら、そういった側面に詳しいというわけでもないので、かなり骨が折れます。
とまあ色々書きましたが、Antinomianの皆さんが言いたいのは、
こういった要素を鑑みつつ、リスナーさんがこの「間違いさがし」をするかどうか(出来るかどうかではない)、というのがブラックメタルよね、という。めっちゃ面倒ですけどねいやほんと
・My Comments V ~Deathspell Omegaとの比較: その4~
サウンドに関しては随所で述べている通り、POPのサウンド(しかしPOPなサウンドではない)は本当にDsO3rdに近しいものです。そんな言うことないですホント(逃避)
それでも相違点を挙げるなら、鋭さ。DsO3rdは重々しい暴虐さがウリですが、SxDxやAntinomianでは、刺々しさがより盛られているように感じます。
時折飛び出すMalaghod氏のアイィィィィィイィ↑↑!!!!!!!!やィィィィィイイイイィイィイ↑↑!!!などと言った某ライダーもドン引きのショッカーヴォイスや、
刻まれるアグレッション性が高いギターリフ、Antinomianでは奇怪なギターソロも盛られていたりと、表面的に狂気が感じられるようになっていますね。
POP時の楽曲構成や随所に挟まれたリチュアルSEなどは、THE DsO。その点、Antinomianではコンパクトになっており、少しそこから脱却がなされています。
ドラムもSxDxと比べ生々しく、ズンズンと身体に響く。パートによってはブラッケンドデスという印象を受ける方も出てくるのではないかなと。いずれにせよ、型にハマり、完成されている印象を受けるSxDxよりは面白味はあるはずです。
・Generalization
なんだかんだ言って、DsOが好きなら問題ナッシングです。似通っている部分も多く、そこを好んで聴くもよし、相違点を見つけるもよし。
ただ、頭ごなしに二番煎じと貶すにはあまりにも惜しい、ということをファン脳全開でこのブログで長々と述べています。コンスタントに作品を出していってほしいプロジェクトです。他でも活発的に動いているようで、それはそれで嬉しい限りですが。
今現在、LP仕様のみで好評(?)発売中です。Limited 500の内、最初の66枚にはかなり質の良いパッチが付いてきます。
私は9月にオーダーかましましたが、パッチが付いてきていました。…好評(?)発売中です。・Physical Order→ Nachtgnosis
リリックカードのみならず、注釈を付けて新調されたSubvertio Deusの再発版も気になる方がいればチェックしてみてください。より彼らの中身が覗けます(隠語)。
Antinomianの試聴はBandcampページでどうぞ。