Verdunkeln - Weder Licht Noch Schatten

・Artist Information
Country : Germany
Creation : 1998
Genre : Hypnotic/Atmospheric Black Metal
Label : Ván Records

・Album Information
Year : 2012
Release-Type : Full-Length (2nd)

Tracks are

  1. Das Antlitz Des Himmels (06:57)
  2. Am Ende Des Abgrunds (12:18)
  3. Die Letzte Legion (10:53)
  4. Unsre Richter (06:09)
  5. Weder Licht Noch Schatten (12:41)

Total Time (48:53)

・My Comments I
―我らがドイチュランドのブラックメタルバンドの2ndです。1998年結成ということですが、初音源発表は2005年と、いい感じの籠り具合。
ヌメヌメと肌に纏わりつくフランス勢とは気色が違い、渇いた空気が周りに滞っているあたりはやはり安心と信頼のMade In ドイチュ。

歌詞は(少なくともこの作品は)全編独語で描かれています。言及しているのはファンタジーや哲学ということで。
私は大学でほんの少しだけ独語をかじっているので、意欲に後ろめたさを孕んでいるわけではありませんが、やはり骨が折れる。

…詰まるところ、面倒くさいのです(笑



お代官様ぁ、どうぞ許しておくんなましぃ~~~~~~~~wwwwww
お主も÷よのぅ 掛け算ほどではw(上手くない)

・Ideology's Detail
―さて、少しお話を脱線。今回焦点を当てるのは、使用言語です。

自明ながら、世界には様々な言語があります。言語と文化は決して乖離できるものではなく、言語に言及するとはすなわち、文化に触れるということで。

つまり、どの言語をリリックとして視覚的に訴え、言葉を紡ぐか(聴覚的)で、アーティストの思いが見え隠れするわけです。


例えば、そうですね。我らがDeathspell Omegaさんなんかは、それこそ要所要所にラテン語を用いていますが、あとは大抵英語です。
ご存知の通り、DsOはいわゆる「バンド形式」のメンバー編成をしておらず、神学、宗教学、哲学etc...に精通した研究者含め十数名で構成されています。

ともすれば、他の言語(それこそ古代宗教と密接に関連した言語)に精通しているのは疑いなく、その上で何故英語を基盤にしているのかという疑問が湧くはず。

英語とは、今では既に国際共通語だと言われ、世界中で用いられている言語です。これは詰まる所、「神聖さに欠けた言語」だということ。
そして、英語ともなれば表面上の意味を抽出するのは容易です。これは、「浅い理解者」を生むリスクも大きくなるとも言えます。

一神教に焦点を当てているのに、何故言語の持つ神聖さに配慮しなかったのか。これは勿論、意図的に「配慮していない」と考えるのが妥当ですね。
問題はその理由。それはいろいろ考えられますし、もちろん真の理由などは私なんぞには分からないのでしょうが、

  1. 音楽という大衆性を孕んだ領域である為、いわゆるリスナーへのヒントとして用いた(これはあまり考えられない)
  2. 対となる他の言語(ラテン語)のリリックが持つ神聖さをさらに強調するため(これは確実にあるはずです)
  3. サタニズム(つまり、神に敵対する者、非神聖ですね)が基盤の為、それを暗に示しているか
  4. 一神教がそもそも神聖さに欠けているというメッセージ(これは見地によっては議論が発生するでしょう)

などなど、私が挙げるだけでも色々考えられます。


まぁそんな感じで、使用言語に目を向けてみるのも良いでしょう(投げやり)。
Verdunkelnさんはこと全編母国語ということで、愛国心やらがあったりとかするのではと。ファンタジーということですし、ドイツ文学にも言及していそうですね。
読み解いてもいない為これは全くの想像ですが(笑

・My Comments II
―鬱陶しい思想面はさておき(オポポォww)サウンドのお話。

Graupel関連の人によって構成されていますが、そこまでアグレッションが高いスタイルではなく、まさに"Hypnotic"の名の通り、ミスティカルなサウンドが特徴。
ジャッジャジャリジャリというロウなギターリフにトコトコ紡がれるドラムはプリミティヴブラックのそれであり、そこに妖しく鈍いメロディが絡み合います。

チャントから鬼気迫る這いずり倒す声まで盛り込まれており、ゆっくりと作品が展開されていく仕様。
シンセチックなギターの立ち回りが光る楽曲が多く(とは言ってもシンフォニックブラックみたいにキラキラ系ではないですよ)、暗く深い一品です。

三曲目のイントロなんかは、「おぉ!?ハードロックかなんか!?」とも思ったりしました。インスパイアされた音楽の水源は広そうですね。
比較的長尺であるのも特徴的ですし、もちろん展開も(鈍く)凝られています。

ありそうでない、渋さがモノを効かす作品です。

ラララ~夕日が沈む~タバコとアナタぁ~


書くことないからって下ネタに走るのはどうかと思いますね

・Generalization
―プリミティヴな側面とミスティカルな側面が、と書くとありがちそうですがかなり独特です。

異境ながらもDødsengelさんなんかにアプローチ方法は似てるかと(あくまでもサウンドのお話しです)。
アトマスフェリックだとも言いかえることもできるでしょうし、重苦しい雰囲気を味わいたい方にはオススメです。

ただ先述の通り、GraupelやEndstilleなどの同郷(というか関係のある)バンドに比べ、アグレッシヴだということでは無いのでご注意。
含みを持った空気を澱ませているという感じは、やはりドイツ産であり、Lunar Auroraさんにもみられるモノです。


個人的にはかなりお気に召した作品。
深く沈んでイクゥッ! イクゥッ…イクゥッ…イクゥッ…イクゥッ…


書くのだるいですよね

・Notable Songs
―Am Ende Des Abgrunds
:序盤の展開が素敵です。歌うと言うよりは謳うというにふさわしいチャントにも注目。

―Weder Licht Noch Schatten
:やはり鬼気迫るヴォーカルが特筆すべきところ。ジャリジャリギターもイクゥッ